兵庫県丹波篠山市今田町の丹波立杭陶磁器協同組合(51窯元、市野達也理事長)は、来年開催の大阪・関西万博に合わせて実施する「ひょうごフィールドパビリオン」の一環で、来年5月頃に丹波焼最古の登窯(同町上立杭)を使った公開焼成を計画。本番に向け、最古の登窯を万全な状態にしておこうと、先月から丹波焼の粘土を製造している坏土工場で、窯の修繕に用いる「まくら」と呼ぶ日干しれんが作りを組合員総出で行っている。今月中に1000個程度製作する予定。
6日には12人が参加。同県三田市と今田町木津で採集した土を混ぜ合わせ、機械で練って仕上げた粘土を、れんがの型となる木枠の中に投げるようにして押し込み、型から抜き出して縦横約17センチ、高さ約18センチのれんがを200個製作した。組合員らは額に汗をにじませ、全身泥まみれになりながら作業に精を出していた。
11月頃に、劣化している2カ所の焼成室を解体撤去し、12月頃かられんがを組み上げて修繕していく。来年3月に慣らし焼成を行い、5月の公開焼成に備える。
最古の登窯は、1895年(明治28)に築窯され、全長47メートル、幅約2メートル、高さ約1メートル。築窯技術は1957年に国の「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」に選択され、73年に県の重要有形民俗文化財に指定されている。2014―15年度に大修復を行い、丹波焼産地のシンボルとして年1回、公開焼成を行ってきた。
最古の登窯焼成準備委員会の市野哲次委員長(59)=同町上立杭=は、「れんが作りは大変な重労働だが、文化財の登窯を修復する機会はめったにないこと。伝統をつないでいくためにも、しっかりと作業工程を学びたい。来年の公開焼成の成功を祈りながら準備作業を進めていきたい」と話している。