棺桶に入り死を体験 ”最期の顔”拝み合掌 「生きている実感を」

2024.06.30
地域注目

“最期の顔”を拝む松山住職ら=兵庫県丹波市柏原町柏原で

棺桶に入って死を疑似体験する「入棺体験会」が、兵庫県丹波市の西楽寺本堂で行われた。不徹寺(同県姫路市)の松山照紀住職の指導で行われ、参加者7人が代わる代わる棺桶に入り、死を見つめた。禅ジャパネスクインセンス協会の主催。

松山住職は「いつ、どこで、誰が、どうやって死ぬか、分からないというのが死。人はみんな死ぬ。しかし、死そのものを体験することはできない。こうであろうとしか言いようがない」と言い、「今、生きていることに軸足を置いてほしい。生きていることは奇跡であると実感してほしい」と呼びかけた。

この後、参加者それぞれが遺書を書き、松山住職の指導で呼吸を整え、入棺体験に移った。刺しゅうの施された棺桶と組み立て式の棺桶の2基が用意され、いずれにも順番に入った。入ると、ふたが閉じられ、住職や他の参加者が般若心経を読経。顔の当たりの扉を開き、“最期の顔”を拝んで合掌、礼拝のお見送りがあった。

姫路市から参加した女性(44)は、「遺書を書いている時は、子どもを残して死んでいくという気持ちが強くなった。棺桶に入ると、残された子どもらの気持ちに思いをはせました」と話していた。

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