地域貢献にやりがい 「根暗」時代から立ち直った高3生 里山整備や救命資格取得

2024.10.20
地域注目

部長を務めるボランティア部の活動について教諭と話し合う道本さん=兵庫県西脇市の西脇北高校で

兵庫県丹波市立春日中学校出身で、同県立西脇北高校3年の道本結斗さんが、同校ボランティア部の部長として里山整備や救命資格の取得・普及といった活動に取り組み、地域貢献を果たしている。周囲とのコミュニケーションに悩み、学校に行けない日もあった中学時代から一転。体験を通じて人と積極的に関わり、立ち直れた経験から、人を支えるボランティア活動にやりがいを見出している。

同部には全校生約180人が入部。道本さんは中心的立場を担う執行部として1年時から活動している。

放課後の草刈りやごみ拾いといった美化活動などのほか、放置竹林で伐採した竹を活用し、カブトムシ養殖やキノコ栽培、東屋や竹灯籠の製作などに生かすプロジェクトも行っている。

また、「災害時などに人の命を守れる人を増やしたい」と、普通救命講習や応急手当普及員といった資格取得にも挑戦。11月には、道本さんら応急手当普及員の資格を持つ部員5人が講師となり、普通救命講習を西脇市で、無料で開く。

◆支援施設の体験転機に 「人と関わるのは怖くない」

「根暗で、しゃべりかけられるのも嫌だった」と、殻に閉じこもっていた中学時代を振り返る。学校に行けない日も増えた。

そんな中、不登校傾向にある児童や生徒を支援する朝来市の宿泊体験施設「但馬やまびこの郷」を利用。同じ境遇にある子どもたちや、講師と協力して料理や工作、川遊び、スキーといったさまざまな体験を楽しんだ。

交流を通じて「悩んでいるのは自分だけじゃない。人と関わるのは怖くない」と思えて、ありのままの自分をさらけ出せるようになった。

◆「次は誰かを支えたい」 社交的になりボランティア部牽引

同施設の体験を機に立ち直れた経験から、入学した西脇北高では「次は自分が誰かを支えたい」と思い、ボランティア部の執行部に入った。積極的に話しかけられるようになり、友人もたくさんできた。

学業や兼部する吹奏楽部の活動、学校で推奨されるアルバイトをこなしながら、ボランティア活動に励む。リーダーシップを発揮し、ボランティア部の活動アイデアも仲間と共に積極的に出し、具現化させている。生徒会の文化部長として行事運営にも関わる。

ボランティア部顧問の高槻浩之教諭(49)は「体力が心配になるぐらい、積極的に活動してくれている。地域のおじいちゃんや子どもたちとも積極的にコミュニケーションを取り、気が利く。かけがえのない存在」とたたえる。

◆活動のやりがい 「『ありがとう』が”重く”伝わる」

「ボランティアのやりがいは『ありがとう』の言葉が”重く”伝わること。人の役に立てているのが実感できている」と道本さん。中学時代と比べ、「自分から意見が言えるようになった。人として180度変われた。自分でもびっくりするぐらい。中学時代の友だちからも『めっちゃ明るくなった』と言われる」と頬を緩ませる。

高校入学当初に将来の夢は定まっていなかった。だが、ボランティア活動に参加し、多くの人に感謝されることで自分に自信が持てた。今の夢は被災地で活動する「災害支援ナース」になることだ。「看護師が不足する中、自分のこれまでのノウハウも生かせると思う」と目を輝かせる。

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