兵庫県丹波市市島町梶原に、手作りサンドイッチのセルフ販売所「90(きゅうまる)」がオープンした。神奈川県で行列ができるサンドイッチの無人販売所の経営に携わり、丹波市に移住した須田伸也さん(42)と、妻の由紀子さん(42)が営む。オレンジ色が目を引く外観で、同市産の卵を使い、和風だしを効かせた「たまごサンド」と、ボリューム満点の「かつサンド」を気軽に味わえる。
たまごサンドには、養鶏会社・カンナンファーム(春日町栢野)が生産するブランド卵「やまぶき」を使用。和風かつおだし、マヨネーズを組み合わせ、「臭みが全くなく、後味が爽やか」(伸也さん)な卵の優しい味わいを引き立てる。
かつサンドには、以前、伸也さんが関東などの大手ディスカウントストアに勤務していた頃に試食した中で「歯切れが良く、ほどけるように柔らかい」と感じたトンカツを仕入れて使う。朝食として食べやすいサイズの「朝カツ」も並べる。
早朝3時半ごろから手作りし、直売所の冷蔵庫に商品を入れる。客は自動販売機をイメージした料金箱に現金を入れれば持ち帰れる。両替などの際にはインターホンを押せば、二人が駆け付ける。現金による無人販売は、レジシステム導入費や人件費などの削減につながり、売り上げが管理しやすいメリットがあるという。外壁は、温かみがあり、たまごサンドとかつサンドに共通するカラーにした。
伸也さんは、ディスカウントストア勤務時代、商品の仕入れで農家や漁師らと関わる機会が多かった。一様に活力あふれる生産者に刺激を受け、40歳で脱サラして新しいことに挑戦しようと決心した。
退職後は、前職時代に取引があり、テレビなどでも紹介される神奈川県厚木市のサンドイッチの無人販売所「ヤマモトヤ」の営業に携わり、独立を思い立った。知り合いの紹介で、子ども服の縫製工場だった梶原の物件を借りられることに。丹波の山が連なる光景にも引かれて移住し、開業準備を進めてきた。
開業を聞きつけた地元住民が連日のように足を運んでいる。伸也さんは「宣伝してくれる人もいて、丹波の人の温かさに感動」と笑顔を浮かべる。店名には「90歳まで働き、社会に貢献する」との思いを込めた。「老後に夫婦で働けるビジネスモデルを体現できれば」と夢を描いている。
営業時間は午前7時―午後1時。定休日なし。