公益財団法人・大阪観光局は、世界的に有名なイタリアの「美食街道」の日本版「美食街道」構想を具現化しようと、兵庫県丹波篠山市と連携協定を締結した。開幕を間近に控えた大阪・関西万博を絶好の機会と捉え、食文化の継承と発展、交流人口の拡大、国内外への情報発信強化が目的。丹波篠山デカンショ館でこのほど、調印式が行われ、酒井隆明市長、丹波篠山国際博の小田垣昇実行委員長、同委員ら計約40人と、同局の溝畑宏理事長ら計6人が出席。「食の聖地 丹波篠山」と「食の都 大阪」が広域観光ルートにおいて密接に連携し、訪日外国人旅行者をはじめとする交流人口の拡大を進め、地域の成長と発展を図る。
同局などによると、丹波篠山と大阪には、イタリアの美食街道が育まれた背景やキーワードとなる、▽食材の宝庫▽交通の要衝▽芸術文化が生まれた街▽市民の誇り▽ブランド産品―などの共通点があるという。
具体的な施策として、美食街道シンポジウムを開催し、日本の食材、料理、酒などの魅力と源流を探究し、世界へ発信する。また、継続的なイベントやミーティングを開催したり、「食」をテーマにした地域連携、食文化振興、食育普及への展開を図ったりする。さらには、大阪・関西万博内でのイベントや、大阪、丹波篠山各所で開催するイベントなどで共同プロモーションを実施する。
調印式で、酒井市長と溝畑理事長らがディスカッションを行った。酒井市長は、「まちづくりは都市化させることではなく、まちの魅力を生かして、誇りあるまちをつくること。農業や景観、自然環境、文化など、丹波篠山が築いてきたまちづくりを進めていけば、人が来る、人が住む。ただ、豊かな食がありながら魅力を十分には生かし切れていないので、大阪観光局とつながっていけるのは大変ありがたい」とした。
溝畑理事長は、「丹波篠山の里山風景が素晴らしい。われわれが子どもの頃に見た美しい田園風景を世界に見せたい」とし、「トイレと町並みを制する者が観光を制する。駅に着いた瞬間の風景が大事だ。駅はまちの顔。JRの駅舎と、きれいで近代的な駅のトイレの改修にすぐにでも取り組みましょう」と声を上げた。
イタリア北部のボローニャからパルマにかけての全長270キロのエミリア街道は、世界的にも「美食街道」として知られる。ボローニャは交易の中心地として栄え、スパゲティのボロネーゼが生まれた街。パルマは芸術・文化が栄えた街であると共に、パルメザンチーズ、生ハムなど世界に誇る食材があることで有名。