干ばつ時にアリの行列の導きで水源を見つけ、村が救われたという伝承から「蟻の宮」と呼ばれる青垣町東芦田の高座神社に雌アリ像が奉納され、入魂式が7月29日、営まれた。同神社の筆頭総代を務めた小寺昌樹さん(84)が4年前に寄贈した雄のアリ像に寄り添わせ、夫婦にした。
1体目の入魂式を開く前に、妻の朝子さんを亡くした小寺さん。雄のアリ像がぽつんとたたずむ様子を見るたびに「まるで自分のようだ」と寂しさを覚え、国内外で活躍する作家の渡邉恭成さん(63)=京都府伊根町=に雄に続き雌像の制作を依頼した。
雌像は雄像より少し小さく、全長は60センチほどで、牙も短い。特徴的なのは黄金色に輝く触覚。5円玉などの素材であるしんちゅうを用いた。
2体のアリ像に小寺さんは、「夫婦仲良く並ぶ姿が見られてほっとし、落ち着いた。妻にも良い報告ができる」と胸をなで下ろした。渡邉さんは「みなが水を欲しがっている。アリの御利益があれば」と降雨を願っていた。
入魂式には小寺さん、渡邉さんのほか、アリ像の土台となる景石を設置した氏子の足立輝文さん(75)らが参加した。



























