5日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する「全国高校野球選手権大会」に、同県丹波市立市島中学校出身の右腕、木下鷹大(ようた)投手(3年)を擁する東洋大姫路が出場する。兵庫大会の決勝戦で報徳学園(西宮市)を7―6で下し、14年ぶり13度目の優勝を果たした。互いに譲らない一進一退の攻防だったが、先発した木下投手は9回148球を投げて完投。名門、報徳打線に粘られながらも、ストレートを軸にした投球で相手をねじ伏せ、県最高峰の戦いを制した。
5回戦の明石商業(明石市)戦で完封し、中5日での先発マウンド。ゆったりとした投球フォームから、テンポよく投げ込んだ。
初回を三者凡退で好スタートを切った木下投手。1点をリードした二回裏、2本の適時打を浴び逆転を許した。直後に味方が逆転したが、四回裏には2連打で同点に追いつかれた。
粘りの投球は続く。五回裏を3人で切って取って流れをつかみかけたが、六回裏に連打を浴び2失点。木下投手は「七回あたりで投球フォームを変えた」と振り返り、「疲労がたまり、球が浮いていたので、上から投げていたのをスリークウォーターにした。(春の)近畿大会で、調子が悪いときは横気味に投げる技術を手に入れていた」と話す。
圧巻だったのは七、八回。衰えない球威と切れのある変化球で4つの三振を奪い、流れを引き寄せた。九回裏に失点し1点差に詰め寄られ、なおも2死一、二塁のピンチを迎えたが、最後の打者をライトフライに打ち取り、マウンドに集まる仲間の輪に加わって喜びを分かち合った。
木下投手は「危ない場面を何とかしのぐことができた。思うようにボールが行かなかったが、味方が点を取ってくれた」と話す。今春の「センバツ」でもマウンドに登った背番号「1」は、「失点しても1、2点までで抑えられるようになったところが、選抜からの成長点。一度に大量失点しなかったことが勝因だと思う」と語る。
スタンドやテレビ中継などで声援を送った地元、丹波市民には、「地元の皆さんの応援があったから踏ん張れたと思う。感謝しかない」と笑顔。「今、スタートラインに立った状況。全国優勝に向け、もう一度取り組んでいくので、さらに応援をお願いします」と大粒の汗をぬぐった。



























