
ぬくもりの郷経営立て直す
こんだ薬師温泉ぬくもりの郷を運営する丹波篠山市出資の株式会社「夢こんだ」のトップ。17年前、赤字経営にあえぐ同社を立て直すため社長に就任し、徹底した経費削減と、従業員一人ひとりがさまざまな業務をこなすマルチタスク化を経営改善の柱に掲げ、取り組んだ。21年間、返済が続いた同社の借金を今年5月に完済し、念願の無借金経営に漕ぎつけた。
大学卒業後、地元の農機具販売店に営業マンとして勤務した。34歳で今田町商工会に転職。同町観光協会にも身を置き、両組織の事務局長を歴任した。定年退職し、ゆったり第二の人生を歩もうとしていた61歳の時、当時の夢こんだの経営陣から、会社の立て直しの協力を求められた。「経営陣とは旧知の仲だったし、何より温泉開業時の今田町民の期待と喜びを知る者として無視できなかった」
同温泉は2004年に開業。オープン景気に酔いしれ、施設増築などの過剰な投資が負債の主原因となった。社長就任時の負債総額は2億円近くあり、年間の利息だけで約400万円という状況にあった。10年には市出資法人経営審査委員会から「経営改善が見られなければ、指定管理取り消しも検討する」と、市長に答申を提出される事態にもなった。
「経営改善策については商工会時代の知識と経験が生きたが、特別なことは何もやっていない。一般企業の経営者と同じような取り組みを、ただただ地道に実行してきただけ」
来年度冬期には、同温泉施設を活用した市初の「道の駅」の開業が控えている。「道の駅の運営が軌道に乗るまでは、もうひと踏ん張りしなくては」。78歳。
























