「蓄電所」が進出 売電の新ビジネス 市内複数個所で設置

2025.09.29
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青垣インターのそばにできた蓄電所=兵庫県丹波市青垣町佐治で

「蓄電所」と呼ばれる施設が、兵庫県丹波市内で散見されるようになった。名の通り、電気をためる施設。コンテナ様の容器の中に蓄電池が収納されている。太陽光発電などで電力系統(電線など)に余剰電力が増え、市場価格が下がったときに電力を買っていったん蓄電し、不足気味のタイミングで放電(売電)し、収益を得るビジネスだ。

「系統用蓄電池」と呼ばれる、電力系統に連係して接続される大型のもの。電力会社との接続コストを抑えるために、変電所や送電線などの近くが選ばれることが多い、とされる。一般的に余剰電力が多く、電気が安い日中に仕入れ、電気が高い夕方以降に市場に売り、収益を得る。

丹波市内では、青垣町佐治、春日町坂、柏原町下小倉で工事完了、または工事中の現場が確認できた。

1000平方メートル以下の開発は市に申請が不要。県丹波土木事務所は「建物ではないので建築確認申請の対象でなく、申請が上がってこない」と言う。県庁環境課も「県は補助制度を持っておらず、県内の数などは把握していない」とする。

規模によるが、市内施設は「指定可燃物取扱所」「少量危険物貯蔵取扱所」に該当し、市消防本部に届けをしている。同本部によると、現時点で3カ所で、うち2カ所は大阪の別々の事業所、1カ所は広島の事業所。「ほかに相談がある」とする。リチウムイオン電池に含まれる電解液が危険物に該当する。

太陽光発電など再生可能エネルギーは、季節や天候、時間帯で発電量が変動するため受給バランスが取りづらいことから、電力需給のバランスを保つ施設として注目されている。国は補助金を設け、後押ししている。

企業が自社の収益事業として設置するほか、太陽光発電所のように投資対象になってもいる。市内のある電気設備会社は「電気の売り買いが肝と思う。システムが複雑で、参入予定はない」とする。

2022年12月に法改正されるまで、蓄電池は、例えば昼間に太陽光発電で得た余剰電力をため、夜間の自家消費に回し電気料金を削減する、あるいは停電時の電力とするなどの用途に限られていた。法改正で、蓄電池単独で送電線を介して放電ができるようになった。

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