きっかけはスーパーでのあいさつ 日中「ばあちゃん」が音楽交流 言葉通じずとも笑顔あふれる

2025.09.13
丹波市地域地域注目

音楽を楽しんだ青垣シルバーコーラスと中国人一行=兵庫県丹波市青垣町佐治で

「さようなら」。スーパーで交わした一言のあいさつをきっかけに、兵庫県丹波市青垣町に滞在中の高齢の中国人女性グループが、平均年齢83歳の青垣シルバーコーラス(9人)の練習に参加した。先方は「ありがとう」程度の片言の日本語、「シルバー」のメンバーも「ニーハオ」、「シェイシェイ」くらいしか話せないものの、音楽の力を借りて打ち解け、共に笑い合う楽しい時間を過ごした。

8月28日の夜、同市青垣町佐治のスーパーで、指導者の宮本幸代さん(92)が見知らぬ女性に小声で「さようなら」とあいさつされた。イントネーションが日本人のそれと異なっていることに気づき、青垣地域に多いベトナム人かと思い話しかけた。

女性は通訳の中国人。滞在者5人と自炊用食材を買いに来ていた。近くに滞在しているような口ぶりに「毎日午後、コーラスの練習をしている。都合が良い時に、良かったら一緒に歌いませんか」と、スーパーはす向かいの青垣住民センターを指さし、誘った。

「シルバー」のメンバーの歌声や手足の動きをまね、曲を楽しむ中国人滞在者たち

参加の約束はしないまま別れた。2日後の30日の練習に、平均年齢70代、65―88歳の6人が現れた。招待のお礼に手作りシューマイをこしらえてきた。「シルバー」は日本の唱歌、中国人グループは母国の歌で交歓。手足の振り付きの「シルバー」のオリジナル曲や手遊び歌「あしぶみたんたん」を練習。手をつなぎ、ステップを踏んだ。歌詞の意味は分からないものの、見よう見まねで手足を動かし、聞こえた音を口にし歌う滞在者の表情は笑みがあふれ、晴れやかだった。

9月1日に2度目の参加。抱き合ったり、固い握手を交わしたりし、再会を喜んだ。シューマイのお返しに「シルバー」のメンバーが手作りの炊き込みご飯とコーヒーゼリーをプレゼントした。

前回練習した曲のおさらいをし、互いに交流の感想を言い合った。

衣川トミ子さん(77)は、「思わぬことでご一緒できた。涙が出るほどうれしかった」、足立静子さん(84)は「長い間の心やすい付き合いのようでうれしい」などと、和やかに交流できた喜びを語った。中国人一行も「親切な日本人と仲良く過ごしたことを、中国に帰って友だちに伝える」「皆さんの気持ちがとてもうれしい。次に来たときに会えたら、すごくうれしい」と、互いに親愛の思いを伝えあった。

宮本さんは「平和で仲良くできるのが一番良い。またお目にかかれるよう、お互い元気で過ごしましょう」と締めくくった。

一行は、遼寧省、安徽省、吉林省、福建省、ウルムチ、江蘇省などから90日以内の短期滞在ビザで来日。空気と水がきれいな青垣で癒やされ、帰国するという。

関連記事