母の遺した糸で フランス刺しゅう集大成展 「草花」「夢二」などシリーズに

2025.09.26
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植野記念美術館で展示中の作品と、小椎尾さん=兵庫県丹波市春日町野村で

趣味でフランス刺しゅうを楽しんでいる兵庫県丹波市春日町の小椎尾陸子さんは、28日まで植野記念美術館(同市氷上町西中)2階の研究室ギャラリーで、より多くの人にフランス刺しゅうを知ってもらいたいと、自身の集大成となる懐古展「陸子の世界~母の遺した糸で綾なし、半世記~」を開いている。草花や竹久夢二の美人画など、大小さまざまなフランス刺しゅう作品を約100点展示している。

フランス刺しゅうをこよなく愛した母、いつこさんが保管していた大切な糸を使い、自身の作品に生かそうとほぼ独学で創作に励んできた。

同展は4シリーズ構成。市内のあちこちで見つけた草花や虫を表現した「草花シリーズ」、画家・竹久夢二の美人画に花などを加えてアレンジした「竹久夢二シリーズ」、甥、姪たちの遊ぶ姿をモチーフにした「子ども達シリーズ」などを展開。8輪のヒマワリの周りをチョウが舞い、カエルやバッタが飛び跳ねる作品「大輪に集う虫たちの歓喜」は、畳一畳サイズの超大作で、来館者の目を引いている。

母の糸を1本も残さず使い切り、大小さまざまな形としてよみがえらせることができたことに、「達成感があったし、これまでの母との思い出もよみがえった」と小椎尾さん。「『一針、一針刺す』という作業を長年続けて出来上がったものたちを、いろんな人に見てもらえたらうれしい」と来場を呼びかけている。

午前10時―午後5時(28日は午後3時まで)。入場無料。同美術館で開催中の展示会「竹久夢二のすべて」は別途料金が必要。

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