スウェーデンの人気陶芸家リサ・ラーソンさん(1931―2024年)がデザインした猫の置物を丹波焼窯元「昇陽窯」(今田町下立杭)が製作している。丹波焼伝統の釉薬、白化粧で仕上げた白猫「きりしろ」と、白化粧の上に飴釉を施した茶猫「つちまさ」と命名した2色の「リサ猫」を手がけている。リサ猫をはじめ、ラーソンさんデザインの動物の陶器の置物、マグカップ、ぬいぐるみ、ポーチ、キーホルダーなど約500点に及ぶグッズを11月10日まで、同窯ショップ内のギャラリーで展示販売している。
リサ猫のサイズは幅約10センチ、高さ約4センチ、厚み約3センチ。価格は6600円。
丹波焼のリサ猫製作は、日本国内でラーソンさんの作品を扱う代理店「トンカチ」(東京都)の依頼で始まった。2023年から展開しているプロジェクト「にっぽんのリサ猫」の一環で、石こう型を用いて日本各地の窯業地でリサ猫を作る取り組み。第1弾として、栃木県益子焼が4種類を手がけ、続いて昇陽窯が丹波焼バージョンとして2種類を製作している。
石こう型に水で溶いた陶土を流し込む「鋳込み」で成形。リサ猫に命を吹き込む表情や体毛は、一品一品、釘で線を削りだす丹波焼伝統の装飾技法「線彫り」で描いている。また、硬めの白釉をスポンジに含ませ表面に塗布することで、ガサガサとした質感と色むらが生まれ、「野良猫っぽさが表現できた」としている。
製作の中心を担っているのは、同窯3代目・大上裕樹さん(39)の妻で、学生時代からラーソンファンという彩子さん(43)。昨年、滋賀県立陶芸の森で開催されたラーソンさんの展覧会に出かけた1週間後、偶然にもトンカチから製作依頼が舞い込んだ。「もう、うれし過ぎて鳥肌が立ちました」。トンカチがインスタグラムで同窯の作風を知ったことが依頼につながったという。
彩子さんは、「試作に1年半を費やし、やっと製品化にこぎつけた」と振り返り、「伝統を守りつつ、その時代のニーズに応え、さまざまなやきものを作ってきたのが丹波焼。そうやって各時代で丹波焼ファンを獲得してきた。今回の出来事もそういうことの一つなのかも。丹波焼の新しい可能性を感じられる出来事になった」と話している。
火曜定休(基本)。営業時間は午前9時―午後5時。



























