祖父母に「孫休暇」 丹波市社会福祉協議会 育児支援と処遇改善、介護職場の魅力アップに

2025.10.27
丹波市地域地域注目

来年4月から丹波市社会福祉協議会が導入する「孫休暇」をPRする近藤事務局長(右)とホームヘルプセンター管理者の石塚さん=兵庫県丹波市柏原町柏原で

兵庫県丹波市社会福祉協議会は来年4月から、職員が自身の孫の育児や世話に積極的に関わることを支援する「孫休暇」を導入する。孫のけがや病気に伴う世話や、入園(入学)式や卒園式への出席などを理由に、1年間につき5日間を限度に休暇を付与するもので、これまでの有給休暇に加えて取得できる。職員の処遇改善としてだけでなく、子育て世代の支援や、福祉・介護職場の魅力アップにもつなげていく。

「孫の看護等休暇」。小学3年生までの孫がいる職員が対象で、同居の有無は問わない。常勤の正規、嘱託、再雇用の職員のほか、条件を満たした臨時職員も対象。現状、10人ほどが孫休暇制度の対象になるが、孫の誕生で要件に当てはまる人は増える。

取得事由は、孫の▽けがや病気に伴う世話▽予防接種や健康診断▽学級閉鎖などに伴う世話▽入園(入学)式や卒園式に参加▽両親がいない際に、代わって世話をする―。1時間単位でも取得でき、こども園などからの“お迎え”にも活用できる。

孫の病気など特別な理由がなくても、両親が仕事などで世話ができないなど「孫を見なければならないのに、見る人がいない」といったケースに対応できるようにした。孫休暇の導入に尽力した事務局長の近藤紀子さん(64)は、「かゆい所に手が届く制度にしたかった」とする。

近藤さん自身、孫がおり、仕事終わりに孫の世話をすることがあるという。孫がいるシニア世代の職員が増えており、全職員にアンケート調査を実施したところ、孫休暇に対するニーズが高かった。近藤さんによると、宮城県が2年前に地方自治体として初めて孫休暇制度を導入するなど、少しずつ同制度が広がりつつあるという。

市社協ホームヘルプセンター管理者の石塚早苗さん(61)にも孫がいる。「時間単位でも取得できる点や、お迎えでの取得も可能。細かい所まで配慮してもらった、ありがたい制度」と喜ぶ。「職場からは必要としていただいているし、自分自身も働きたい。この制度を上手に使って働きながら子どもたちを支援できれば、家族円満にもつながると思う」と話す。

近藤さんは「職員自身の仕事と家庭の調和に有効になる。若い世代への支援に加えて、福祉介護現場の人材不足が叫ばれる中にあって、働きがいのある職場としての魅力アップにつなげたい」と話している。

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