就農体験赤裸々に 元格闘家の山内さん ”失敗談”つづった本出版

2025.11.28
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自身の体験をつづった本を発行した山内さん=兵庫県丹波市春日町で

「パンチィー山内」がリングネームの元格闘家で、現在は農家の手伝いと、丹波産野菜を仕入れて都市部で販売する八百屋を兼業する山内延浩さん(44)=兵庫県丹波市春日町=が、農業を始めた10年ほど前から書きつづってきたインターネットブログをまとめた本「元プロ格闘家パンチィー山内の就農失敗談―1000年後の就農者へ」(あうん社)を出版した。農業を学ぼうと、紹介を受けて足を運んだ先々での出来事やトラブル、胸に抱えていた素直な思いを書き連ねている。「1000年後の人が読んで、『過去にこんな農業現場があったんだ』と感じてもらえれば。今を生きる人の参考にもなれば」と話している。 A5判176ページ。大きな文字で読みやすくし、挿絵を入れて内容をイメージしやすくした。当時思っていたことを素直に伝えるため、加筆修正は最小限にとどめた。「1000年後の未来の人でも読みやすいようにした」(山内さん)

「強さ」に憧れ、24歳で総合格闘技団体「パンクラス」でプロデビューを果たした山内さん。30歳で引退し、強さの根源を「食」と捉え、農業に転身したという。

同書は、農業を学び始めたところからスタート。農家や農業法人のもとで作業に従事する一方で、農家や従業員らを“観察”して思ったことを赤裸々につづったほか、人間関係に苦労したこと、さまざまなトラブルに巻き込まれた経験などを書き留めている。

縁があれば、自身の体験を本にして残したかったという山内さん。「当時は(研修先の)待遇面で大変な部分もあったが、今の職場は賃金も上がって良くなっていると感じている」と話す。「主に失敗から学びがあった。人間関係のもつれもあったけれど、反面教師にしてもらえれば。1000年後に『就農』という言葉はないかもしれないけれど」とほほ笑む。

現在は、市島町の「ひょうたん農場」でアルバイトをし、主に耕作放棄地での米作りを担っている。週2回、都市部での野菜販売も続けている。「耕作放棄地を集約化したい。農業を担う人を増やすことにも力を貸せれば」と話している。

定価1100円(税込)。無鹿リゾート(丹波市春日町下三井庄)や、アマゾンなどで販売している。30日に同リゾートで、12月13日に丹波PIZZA KITCHENのこのこ(同町野上野)で出版記念イベントを開く。詳細は山内さんのインスタグラムで。

 

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