手術治療痕が残る高齢樹 市の天然記念物「大イチョウ」 連載”まちの世間遺産”

2025.11.22
丹波市地域地域歴史自然観光

鴨神社の鳥居前にある大イチョウ=2025年11月21日、兵庫県丹波市市島町梶原で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波市市島町梶原の鴨神社の鳥居前にある御神木「鴨神社の大イチョウ」です。

同市の天然記念物に指定されており、改定前の「丹波の森 名木ガイド」(企画・編集 兵庫丹波の森協会)には、幹周約6メートル、樹高約25メートルとの記載がある。堂々としたその大木は黄葉の見頃を迎えている。

過去には枯損や台風の被害に遭った。著しく衰弱した推定樹齢1200年の木の生気を何とかよみがえらせたいとの一心から同地区の有志が集い、「大公孫樹を守る会」を結成。木のそばの石碑には、日本樹木保護協会代表の樹医、山野忠彦氏に依頼し、同木の状態を診断してもらったところ、早急に根本的な手術と治療を施す必要があるとの指導を受けた、との記載がある。

樹木医によって蘇生手術治療が施されている

1991年(平成3)に大規模な蘇生手術治療が行われ、削り落とした個所に、雨水などが侵入しないようモルタルを塗り固める防腐処置が施されたという。木の色になじむように修復されているが、近くで見ると、治療痕がはっきりと確認できる。

2004年(平成16)8月に発生した台風16号の際には、強風により太い一本の枝が裂けるように倒れる被害を受けた。幸い、近くに立つ民家に被害はなく、当時を知る大符敏明さん(84)は「家を避けて倒れるなんて、さすが御神木やなあ、と感心した」と話す。

同神社の村岡一比古宮司(75)は、「御神木として、梶原地区全体で大事に守っていくべき存在」と話していた。

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