ラジコン草刈機を実験 「平面使用は有効」 高齢化進む地域の負担減に

2025.12.01
ニュース丹波市地域地域注目

実証実験中の機体の作業のようす。セイタカアワダチソウを刈り倒す力がある

高齢化が進む地域で課題になっている草刈りの負担軽減の一策として、兵庫県丹波市が青垣町佐治、遠阪両自治協議会で行っているラジコン式草刈機実証実験の意見交換会が11月20日、佐治来楽館であり、両自治協役員と市市民活動課の職員らが懇談、役員らが運用した感想や課題を意見交換した。現行機は、平面は伸びた草でも刈り倒す力があり、有効とした。傾斜角度が大きい所は、横転への懸念からあまり使われなかったことを報告。両自治協とも導入は有効だとし、青垣地域の4自治協共同で次年度に購入する方向で検討中。維持経費の負担の在り方などを詰めていくとした。

集計途中の実績報告によると、耕作放棄地や遊休農地、通学路の堤防、自治会管理の運動場や広場、河川敷などで使われた。

昨年度は両自治協で計54回、約8・7ヘクタールで利用。今年度(年度途中)は83回利用され、遠阪だけで6・8ヘクタール利用された。データが詳細な遠阪の今年度の集計結果によると、耕作放棄地で約2・4ヘクタール使われ、作付けしていない管理田で約3・9ヘクタール。刈払機で人力で刈るしかない、草丈が伸びた耕作放棄地でも刈れ、1時間あたり7―10アール程度の高い作業性があり、平面を刈るのに有効、という評価だった。

堤防は3カ所で8アールにとどまった。傾斜地は、性能上「最大斜度45度まで対応」とあるものの、刈りたい所がそれ以上の急傾斜地だったり、365キロある機体の横転を恐れて使用実績が乏しく、傾斜が大きい畦畔は不適という評価。佐治からは、重いため脱輪したときに1人で対処できない、大型機でメンテナンスを自分でできない、危険性を鑑み作業は複数人でする方が良い、といった意見、感想があった。

維持管理経費は、ガソリン代のみ使用者が実費負担。他は市が負担した。市の負担は、2年平均で1台あたり年約10万円あまりの保険料(賠償責任保険、傷害保険、自動車保険)と、1台平均約11万7000円の修繕料(オイル交換、刈刃交換、ベルト交換、リモコン交換など)。これら経費を全て貸し出し料で賄うとなると、料金設定が高額になり、使ってもらえなくなる懸念があるため、市が自治協に交付する地域づくり交付金で一部を賄うアイデアが出された。

また、講習会を開くなどし、誰でも使えるようにするのか、オペレーターを育成するのかや、貸し出し先に営利を含めるのか、非営利に限るのか、といった「運用ルール」を今後、地元で詰めていくとした。

両自治協は、現行機の課題の傾斜地の草刈りについて、11月6日に遠阪で他社製品と比較実演を実施。現行機を含め4種を比べ、重量が軽く傾斜に強い機体は、草丈が伸びた平面に弱く、一長一短あることを確認した。

自身も借りて使った遠阪の前田進会長は「大体、ラジコン草刈り機は良い、と浸透したのでは。実験で利用した人は使えるものなら使いたいと思うし、利用していない人も興味を持っている。もっと周知したら利用は増える」と言い、佐治の古川正孝会長は「使用料の設定が難しい。オペレーターに刈ってもらうとなると、その分費用がかかる。だったらやめようとなるかもしれない」と敷居を低くしつつ機材を維持する方策を見出す難しさを口にした。

市市民活動課によると、草刈り機への自治協の関心は強く、両自治協に貸している機体を同町神楽、氷上町の葛野、生郷、山南町久下の振興会に貸し出した。機体を導入したいという相談も多く、市は来年度の補助金創設を検討中。

道路、河川、農地などの良好な生活環境を保存するため、昨年度と今年度、市が所有する機材を両自治協に無償貸与。使う場所や、公共空間、私有地の制限なしに、自由に「使い勝手」を試してもらっている。機体は1台300万円弱する。

 

 

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