鉱山事故日に慰霊祭 朝鮮人殉職者ら追悼 共に命がけで働いた歴史振り返る

2026.03.18
丹波篠山市地域歴史注目

北野住職らの読経が響く中、祭壇に向かい手を合わせる参列者=兵庫県丹波篠山市福井で

1948年(昭和23)に起きた落盤事故で亡くなった3人の朝鮮人労働者を悼む慰霊碑がある豊林寺(兵庫県丹波篠山市福井)で、事故発生日の3月3日、慰霊祭が営まれた。無縁仏供養と合わせ、2019年から毎年続けている。檀家総代、丹波篠山市内で在日コリアンの足跡を調査する市民グループ「銘板設置の会」のメンバー、在日韓国人ら約10人が参列した。参列者は祭壇に向かい静かに手を合わせ、読経が響く中、焼香して祈りをささげた。

同寺周辺で1934年(昭和9)に硅石が見つかり、以後60年代まで採掘が続いた。硅石は溶鉱炉の耐火れんがの原料として用いられ、丹波篠山の硅石鉱山では多くの朝鮮人が働いていた。農閑期には近隣農家も採掘に携わったという。

下筱見集落にあった「鳥山鉱山」で48年3月3日に落盤事故が発生し、坑内で作業していた朝鮮人3人が死亡した。

2018年、同寺の北野諦圓住職(54)が境内の無縁仏供養塔を整理していた際、「殉職者名」として「武田三童」「上野三郎」「金本容鎬」の3人の名が刻まれた、高さ約1メートルの慰霊碑(建立者、年月日不明)を発見。同会が1948年3月5日付の地元紙「篠山新聞」や関係者の証言を手がかりに調査し、この3人が事故の犠牲者であることを突き止めた。

雨降る中で殉職した朝鮮人の慰霊碑に手を合わせる銘板設置の会のメンバー

慰霊祭当日はあいにくの雨となったが、北野住職は「法要の時の雨は、亡くなられた方へ思いが伝わり、うれし涙の雨とされる」と語り、「日本人、朝鮮人に関係なく一緒に坑内に入り、命がけで働いた歴史を振り返ってほしい」と話した。

同会は市人権・同和教育研究協議会と共に、市内の在日コリアンゆかりの地に銘板設置を進めており、同寺境内にも2020年3月、「当時の花形産業だった鉱山を共に支えた証し」として7カ所目の銘板を設置した。

京都大学教授で同会代表の細見和之さん(64)と、3人の身元調査に尽力した松原薫さん(77)は、「今年も地域の方々と一緒に法要を営むことができ、ありがたい」と喜ぶ一方で、「当時を知る年長者が減っている。在日コリアンの話には差別の記憶もあり、語りにくい面もあるが、もっと話を聞き、記録を残したい。若い世代にも関心を持ってもらい、活動の後継者になってほしい」と呼びかけた。

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