兵庫医科大学ささやま医療センター  篠山市内児童のピロリ菌感染率を調査

2011.07.26
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 胃がんの原因となる細菌 「ヘリコバクター・ピロリ菌」 の研究に取り組んでいる兵庫医科大学ささやま医療センター (篠山市黒岡、 福田能啓院長) などが、 篠山市内の小学3年生以下689人を対象にした 「ピロリ菌検診」 の中間報告がまとまり、 陽性は13人 (1・9%) と既存のデータと比べ、 最も低い感染率だったことがわかった。 現在、 細菌のDNA分析も進めており、 感染源の特定を目指す。 研究に当たっている医師らは、 「予想以上に感染率が低い。 今後のがん治療に向けて貴重なデータになる」 としている。

 研究は同医大、 愛知医科大、 杏林大の3大学の合同チームが昨年11月から2年間にわたって実施。 自治体単位で同菌の感染率や感染経路の特定を行う研究は全国初の取り組みという。

 研究チームは、 市の協力を得て、 昨年11月から市内の小学校や幼稚園、 保育園など16施設に通う0歳児―小学3年生の子どもたちから便を提出してもらい、 菌の有無などを調べていた。

 689人のうち、 0―3歳までの146人については感染者はゼロ。 4歳―小学3年543人のうち13人が陽性を示した。

 同センターの奥田真珠美准教授が2006―09年に和歌山県などで調査したデータやこれまでの研究から、 感染率は4%ほどになると予測されていたが、 予想を大きく下回る結果となった。

 ただ陽性を示したとしても今すぐに除菌を行う必要はないという。

 感染の低さについて愛知医科大の菊池正悟教授は、 「胃がん自体のあり方が変化してきているのか、 地域性によるものかはわからない」 とした。

 今後、 11月には対象を小学6年まで拡大して再度、 検査を行い、 陽転率 (菌が陰性から陽性になった児童・園児の率) などを調べるほか、 ▽何歳ごろに最も感染率が上がるか▽再感染時期を特定し、 いつ除菌を行うことが最も効率がいいか―などを割り出し、 1年後を目途に最終報告を行う。

 福田院長は、 「感染源、 感染経路を特定することで、 将来的には篠山から胃がんを撲滅することも見えてくる。 他地域にも取り組みが広がれば」 とした。

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