2012年8月に青垣町の一部地域に国の基準値を超えるマンガンを含んだ濁水が流出した問題で、 丹波市議会の100条委員会が19日、 関係職員を証人尋問したところ、 市水道部が水道法に基づく県への給水開始の届け出を怠った上、 県から未提出であることを指摘された後に、 担当者が作成者名を偽った届け出書類を提出していたことが分かった。 また、 水質検査結果の隠ぺいについて、 当時の部長は、 「部内の幹部職員で合意したこと」 として、 隠ぺい指示を否定した。
同委は、 関係した職員1人を参考人として、 6人を証人として尋問した。
西芦田浄水場の改修に伴い、 12年3月30日付で県に提出した給水開始届け出書類に関し、 作成者となっている職員を参考人として呼び、 確認したところ、 「私が作ったものではない」 と発言。 証人として呼んだ後任の職員が 「県丹波健康福祉事務所に当時の部長、 課長が行かれ、 その後、 指示を受けて作成した」 と証言した。
この職員は、 濁水流出事故後の同年9月10日前後に指示を受けて書類を作成し、 6カ月ほどさかのぼった日付にするために前任者 (12年4月1日付で他部署へ異動) の氏名を記入。 「印鑑は引き継ぎで借りていたものを使用し、 前任者にも言っていない」 などと述べた。 当時の部長も 「県から 『届け出、 水質検査もしないで、 市は危険な行為をしている』 と厳しく言われた」 と証言した。
また、 濁水流出事故直後に、 高いマンガン値を示した水質検査結果を公表しなかったことについて、 当時の部長は 「当時の課長、 係長らと協議したこと。 指示した覚えはない」 と否定。 他の証人として呼ばれた職員も 「隠ぺいを指示されたことはない」 としたが、 一方で 「公表すべきだという前向きな意見はなかった」 と話した。
水質検査結果を確認せずにファイリングしていた職員 (この日の参考人) をはじめ、 証人となった職員からは 「青垣の水はきれいだという思い込みがあった」 との証言が相次ぎ、 水質検査に対する認識の薄さを露呈。 担当者が新水源の水を混ぜても大丈夫だという意識から、 上司に報告もしないで西芦田浄水場に通水し、 給水エリアへ配水したことも明らかになった。
傍聴した 「丹波市の水道水を考える会」 の事務局、 細見昭文さんは、 「責任の所在がどこにあるか分からないような答弁だ。 『これまで通りの水源の水を供給せよ』 という運動をさらに強めたい」 と話していた。