各種団体が兵庫県篠山市を「丹波篠山市」とするよう要望したことをきっかけに議論が始まった「市名変更問題」を受け、市民有志らが、「市名変更の是非を問う住民投票を実施する会」を設立した。メンバーは、「賛成、反対、どちらになっても構わないが、現状では市と議会だけで決めてしまいそう。市名変更は市民一人ひとりにかかわる重要な問題。住民が意思を表明する機会が必要」と言い、今後、市名変更に向けて具体的な動きが出た段階で住民投票を実施するための署名活動などを展開する予定という。
会を設立した市民有志は10人。設立趣意書では、市名変更の議論がスタートしたことを受けて、「市名は市民にとって大切なもの。市名を変更するならば、市長や議員だけで決めるのではなく、住民による投票で」としている。
市名変更問題については、今年に入って市内8団体から市長や議長に対して、市名変更を求める要望が出されており、市や議会は現状を調査したり、各地で市民の声を聞いている段階。要望を受けた酒井隆明市長は、「市名に関する混乱・誤解について私も危機感を抱いており、『今回、やるしかない』と思っている」と発言するなど前向きな姿勢を示しているが、現状では、市名を変える条例案を市議会に提出していない。
ただ、要望団体は、「変更は元号変更が予定されている2019年に」としていることや、市が、「変更するなら周知期間が1年以上は必要」という見解を示していることから、今年度中にも具体的な動きが出るとみられている。
同会は、市名変更が市と議会のみで決着されようとした場合、住民投票実施請求書の提出を予定。篠山市住民投票条例によると、有権者の5分の1(約7000人)の署名を集めることができれば、市長に対して住民投票を求めることができる。2013年の条例制定以降、住民投票が行われたことはない。