リオ五輪。レスリング女子で4連覇を逃した吉田沙保里が銀メダルの表彰台に立ってもなお泣き続けているのに、もらい泣きした。
絶対確実とまで言われていた金から見放されたのは、やはり日本選手団主将としての重圧の大きさからか。
2枚看板のもう1人、伊調馨は前日に、女子前人未到の4連覇を果たしていた。その彼女も終了間際の辛うじての逆転勝ちという内容には不満だったらしく、「出直して来いと言われたみたい」と漏らした。勝負の非情さ、若い力の台頭をありありと見せつけられた一連の試合だった。
30代の彼女達に「4年後に東京があるよ」と言うのはあまりにも苛酷。筆者もそんなことを求める気は毛頭ないが、ただ、もう1人胸に迫ったベテラン女子選手もいる。体操で7大会連続出場のウズベキスタンのオクサナ・チュソビチナ、41歳。
CIS(旧ソビエト諸国の独立国家共同体)代表として参加した1992年、バルセロナ大会で団体優勝。その後も息子の病気治療のため移住した当時はドイツ代表で、今回は再び祖国から出場。跳馬決勝で、難度の超高い技に挑戦して着地に大きく失敗したが、全く悪びれず7位入賞。
そして演技が終わるや、「東京にもきっと行くわ」。華奢だった17歳の少女が、4半世紀を経て見事に年輪を刻んだ顔、身体に変身していた。(E)