エサ求めウミネコ姿現す
西日本豪雨の際、兵庫県の内陸部にある丹波市内で、海鳥のウミネコの飛来が確認された。また、田んぼで巨大ゴイが捕まるなど、珍しい事象が相次いだ。
雨が降り続いた7月6日午前7時半ごろ、市立上久下小学校のグラウンドを大型の白い鳥が歩いているのを校長が見つけた。「普段見る鳥ではなかった。カモメと思った」と校長。誰もいない運動場で1時間ほどうろうろ、一向に飛び立たず、いつの間にか姿を消したという。
同日、「丹波野鳥の会」の梅津節雄代表が同市氷上町の田んぼでウミネコが2羽飛来しているのを撮影した。「丹波市内でまともに見るのは初めて。大変珍しい」と梅津さん。過去にも大荒れの天候時に別の海鳥が飛来しているのを見たことがあり、「海がひどく荒れる時に内陸に避難しに来ているのではないか」と話した。
7日にも同市山南町で、野鳥愛好家の男性が飛んでいるところを見かけた。近くの田んぼに急降下し、生き物を肢に引っ掛けてすくい取り、食べながら上空を旋回したという。
動物の生態に詳しい県立人と自然の博物館(三田市)の布野隆之研究員は、「台風などの後は、海辺の鳥が飛来することがある。エサがある水辺環境を求めて内陸に入ってきたのだろう。鳥にとっては珍しくない行動。丹波市にとっては珍しいだろう」と話していた。
80センチ巨大ゴイが通学路泳ぐ
同市氷上町の田んぼでは、体長80センチ、9キロ、胴の直径15センチほどの巨大ゴイが捕獲された。コイは、川の本流から3メートルほど高い位置にある田んぼまで、水路を通り、冠水した中学生の通学路を横断してきたと見られる。
未明に激しい雨が降り、大雨特別警報も出た7日の早朝、近くに住む男性が、畑の様子を見に来て冠水した畔の上に背中を空気中に露出させたコイがいるのを見つけた。
翌日、畑周辺で支柱など流出した農業資材の回収中に、昨日のコイが田んぼで「アップアップ」しているのを見つけた。慎重に厚手のビニール袋に追い込んで捕まえた。
男性は「川から農業用水を直接引き込んでいた時代は、フナが産卵し、コブナが大量に田んぼにわいた。ナマズが田んぼにいた」と昔をなつかしんでいた。