映画「恐竜の詩」の地元先行上映会へ。「やまさとのうた」と読むそうだ。丹波市はじめ多くの団体、企業、個人から人的、資金的な支援を得て完成したとあって、「スポンサーに随分気を遣ったなあ」というのが率直な感想だが、「丹波の風景を100年後まで残したい」という近兼拓史監督の気持は十分理解できた。
インド勤務から急に丹波に送り込まれた商社マンの主人公一家を演じる澤田敏行、とみずみほ夫妻が掛け合いのように自然体で、高校生の娘役の古和咲紀も笑顔がとても良い。地元からスカウトされた吉竹柏輝君、武田丹音さんも熱演していた。
澤田家の小学生の息子がどこからか持ち込んできた恐竜らしき卵が、突然に孵って歩き出すのは、いかにも漫画チック。世界中のマスコミが殺到して来かねない大事件にもかかわらず皆、犬や猫でも扱うように飄然としているのが、これまた面白い。
柏原高校生の咲紀が出場する関西放送コンクールの所で話は山場を迎えるが、随分よく出来たロボットの恐竜の子供をもっと活躍させれば、ドラマの軸がもっと太くなったのではないか。
教室の窓から見える山の形を珍しがる咲紀の話に感心する級友。それこそが近兼監督の言いたかったことなのだろう。会場では大きな拍手が巻き起こったが、さて全国では?(E)