I.K.I代表取締役 岸田 勇 (きしだ いさむ) さん

2006.06.29
たんばのひと

インドから内装製品
I.K.I代表取締役 岸田 勇 (きしだ いさむ) さん (東京都中央区在住)
 
1942年 (昭和17年) 丹波市氷上町中野生まれ。 柏原高卒。 繊維製品の総合商社、 市田に37歳まで勤めた後、 2社の経営に携わり、 52歳で現在の会社を創業。
 
 主にインテリアの繊維製品をインドで生産し、 輸入して日本の流通に卸す。 15人のインド人を現地会社で雇い、 商品企画から製品のデザイン、 工場への技術指導まで。 「自社の工場は持っていませんが、 大手商社にはできないきめ細かなコンサルタンティングで、 良質の商品を生産しています」。
 初めてインドを訪問してから30年が過ぎた。 「水を飲めば下痢。 トイレットペーパーにも事欠く」 ような散々な体験をしながら、 親日家の政府の要人によくしてもらって事業が順調に展開した。 今ではニューデリーやマドラスのビジネス界で、 岸田さんを知らない人はいないほど有名人だそうだ。
  「途上国は人と人のつきあいがものを言いますからね。 インドは対日感情もいいし、 治安、 人柄も真面目でいい国ですよ」。 応接室にはインドから贈られた品々が溢れている。
 東京本社の従業員は5名だけだが、 少数精鋭の経営を成功させて、 評価機関が 「超優良企業」 と評価。 しかしずっと順調だったわけではない。 バブル経済崩壊後の99年、 中小企業への貸し渋りで取引先が倒産して、 会社は多額の負債を負った。 生死をさまようような病気になり、 「波乱万丈の人生でも一番の苦境」 に追い詰められたが、 なんとか切り抜けた。 「先を見る目を持ち、 変化に対応できる者が生き延びる」 と確信している。 業界の将来を見越して、 最近は小売販売の会社も作った。
 若いころは自分の将来像を思い描く余裕もなく、 「与えられた環境で必死に頑張るしかなかった。 その忍耐力は丹波で養われたと思いますよ」。
 農家の三男。 引退後も丹波に帰るつもりはないが、 「事業家の目から見ると、 一次産業の衰退が心配。 休耕田を生かす方策はないものでしょうか。 来るべき世界的食糧難に備えて欲しい」 と力説した。

(上 高子)

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