「国際」の眼で故郷を
マースクライン北東アジア定航本部北米・中南米課部長代理 直田 正 (すぐた ただし) さん (東京都大田区在住)
1948年 (昭和23年) 丹波市山南町谷川生まれ。 柏原高、 明治大政治経済学部卒。 旅行業界に2年いた後、 マースクラインヘ。 2年間のデンマーク本社勤務をはさんで日本法人東京本社。
マースクラインはデンマークのコングロマリット (複合大企業) で、 船会社としては世界一の規模。 「デンマークにいた時は、 名刺を出すだけで信用されるというほど超優良企業でしたね」。
東京本社も外国人が大勢働く国際色豊かな職場で、 共通語は英語。 マンションの管理組合の役員になったときは、 日本語の慣用表現を一から勉強し直したという。
最近解散した 「海運同盟」 の仕事に長く携わってきた。 「船会社間の競争を促す規制緩和の流れですね。 会社での私の役割もそろそろ終わりに近づいています」 と、 まもなく定年を控え、 セカンドライフへの抱負と準備に余念がない。
大学4年生の6月から半年、 シベリア鉄道経由でヨーロッパへの一人旅に出た。 当時ベストセラーの 「なんでも見てやろう (小田実著)」 に影響を受け、 1日13ドルで暮らすヒッチハイク旅行。 卒業後の旅行業と船会社への就職は 「外の世界を見たい」 という丹波育ちの願望からだったと思うそうだ。
「団塊の世代」 をずっと自覚してきた。 「小・中学校の教室はすし詰め。 先生に個人的な目配りをしてもらった記憶がない。 我々が退職してどーっと町へ繰り出す時、 日本社会はどんな風にかわるでしょうか」。 まず身体のオーバーホールから始めようと思う。
また、 所属していた 「平成維新の会 (大前研一主宰、 今は解散)」 や 「道州制推進連盟」 などを通じ、 先進国中、 地方自治が遅れていると言われる日本の改革に関わりたい。 いずれは丹波で、 最近注目されている 「ロハス生活」 (健康と環境に価値を置く生き方) も。
これまでも農繁期には帰郷して、 公務員だった父の亡き後、 1人田畑を守る母親を手伝ってきた。 「故郷は決して 『遠くにありて』 ではない。 いつも心にあります」。
(上 高子)