電子機器の材料開発
松下電工 研究員 余田浩好 (よでん ひろよし)さん (寝屋川市在住)
1961年(昭和36年)市島町酒梨生まれ。 柏原高、 神戸大工学部卒業、 同修士課程工業化学専攻修了。 87年松下電工入社。
松下電工の研究員として、 携帯電話やノートパソコンなど電子機器に組み込まれている部品に使用される、 プリント基板などの材料開発を担当している。 「この分野は、 小型化、軽量化が進んでいます。 パソコンに触ったら熱を帯びて熱くなる部分があると思います。 発熱や衝撃によるIC (集積回路) の故障を防ぐため、 よりすぐれた材料開発が求められています」 と話す。
「1ミリの1000分の1が1ミクロン。 現在、 取り組んでいるのが1ミクロンの1000分の1の 『ナノ』 粒子。 小泉改革の目玉の一つがナノテクノロジーで、 日本は世界のトップレベルに立ち、 技術立国を誇れる分野です」
現在、 「財団法人化学技術戦略推進機構」 に出向し、 広島大学内にて、 国家プロジェクトの研究に参画している。 印刷、 原材料メーカーなど10数社との共同研究で、 ナノ粒子を用いた新規な高性能・新機能材料の開発を手がけている。 光通信用機器などの新規な材料開発にもあたっている。 「光通信はこれから広がる分野。 高速、 大容量への対応も課題。 将来の日本の物作りの基盤を支える技術といっても過言ではないでしょう」 と言い切る。
子どものころから、 物を作るのが好きだった。 「お菓子のおまけについているおもちゃを組み立てるのが楽しみでした」 と振り返る。 「田中耕一さんのノーベル賞受賞で話題になりましたが、 基礎研究は本来目立たない分野。 地道に研究を続けていくことが一番大事。 信念を持って筋を通したい」 と意気込む。
「材料開発は、 一つの企業では限界があります。 近年は、 複数の企業や大学が得意分野を持ち寄った共同研究が盛んです。 様々な人とのネットワークのなかから良いヒントが生まれることがあります」 という。 「韓国の技術者が大阪の会社へ実験に訪れましたが、 夕方関空に着いたその足で実験にとりかかりました。 ハングリー精神に驚かされました。 日本も安閑としておれません」
(臼井 学)