世界有数の船会社で
(おぎの・あきら)神奈川県鎌倉市在住
1944年 (昭和19年) 篠山市生まれ。 篠山鳳鳴高、 早稲田大商学部卒。 昭和海運を88年退社。 91年ソディアック・ジャパン入社。 95年以来現職。
英国系のコングロマリット (複合大企業) を親会社に持つ世界有数の海運会社。 日本法人は帝国ホテルの隣のビルの広い一室で、 社長の荻野さんと秘書のみ。 「本社所有の250余隻の船の運航には一切関わらず、 造船の発注や受け取り、 中古船の売買、 また地方の船主やブローカーとの付き合いが主な仕事です」。
日本の造船高はコストが高くなって、 今や韓国、 中国に次ぐ第3位に落ちてしまったが、 製品の信頼性が高いので、 今でも人気が高いという。
海運業界はこのところ、 中国の経済発展に支えられて有史以来の好況。 しかし、 発注した船の数が現有の2倍になるといわれる2010年は、 需給バランスが崩れ、 マーケットが暴落するのではないかとの見通しもある。 発注から受け取りまで数年かかるので、 リスクの大きい事業だ。
大学卒業後、 日系の船会社に入社して、 20年間営業を勤めたが、 海運不況の時期に早期退職に応じて、 ここに再就職した。 前の会社でオーストラリアのシドニーに3年間駐在し、 磨いた英語力が役立っているが、 仕事のやり方はまったく違うという。
「日本は下から上へ、 りん議書を上げて合意形成をしますが、 こちらは全くのトップダウンです」。 日本のやり方は民主的かもしれないが時間がかかりすぎ、 変化に対応できない。 「『待てば海路の日和』 や 『熟慮の末』 などという言葉は、 死語ですよ」 とも。
日本の将来は、 という問いには、 「優秀な若者が嫌気をさして日本を離れないよう、 彼らを支えることが必要。 『後期高齢者』 という言葉は確かに悪いが、 老人も自ら社会に関わることが求められますね」。 グローバル企業で経営に携わる丹波人の、 日本を見る目のコメントだった。 (上 高子)