老人給食の搬送やガイドヘルプ、 点訳など多くのボランティア活動に取り組み、 地域づくりに貢献があったとして、 「ひょうご県民ボランタリー活動賞」 を受賞した。 今年度は県下で6人と20団体に贈られ、 丹波では1人。 表彰式は30日、 県公館で行われる。
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「10年前に帰郷し、 これまで母親が地域のお世話になっていたお返しがしたいと、 福祉ボランティアを始めました。 こちらが勉強させてもらうことが多く、 徐々に活動の幅が広がっていきました。 今では点訳、 朗読、 ガイドヘルプ、 リハビリ介助、 給食搬送など福祉関係のグループのほか、 人形劇や手品のサークルにも入り、 お年寄りのデイサービスなどで楽しんで公演しています」
「ボランティアはほとんどが女性なので、 どの集まりに行っても“黒一点”。 町内でも9割以上が女性で、 男性は1割ほど。 泊りがけの研修旅行などでは男性障害者の入浴やトイレが問題になります。 同性の介助が必要な場面があるので、 本当はもっと男性が増えなければいけないと思います」
「小学3年生まで東京で育ち、 東京大空襲の前日に父のふるさと山南町へ越してきました。 あと1日遅く出ていれば空襲に巻き込まれていたことを考えると、 まさに命拾いをしたわけです。 脳内出血を起こし、 3年間で3度も頭の切開手術をしたことも。 助かったのが不思議なくらいです。 ボランティアを続けている根底には、 2度も命拾いをしたという気持ちもあります」
「ボランティアはする人も受ける人も対等。 難しい顔をするより、 楽しんでやる方がいい。 活動自体が勉強になるし、 友だちの輪も広がります。 ボランティアの高齢化という問題もありますが、 体力の続く限り続けたい。 そして妻の協力があればこそと感謝しています」
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このほかにも、 絵本の読み聞かせ、 精神障害者小規模作業所の手伝い、 ステージオペレータースタッフなど両手で数え切れないほどの活動をしている。 周囲から 「変わっている」 と言われることもあるそうだが、 気にしている風はない。 気負いのなさが、 ボランティアの受け手にも心地よく伝わるだろう。 山南町上滝。 66歳。 (J)