兵庫県ふれあいの祭典の 「川柳祭」 で、 全国から約1720句の応募があったうちトップの文部科学大臣奨励賞に選ばれた。 受賞作は、 「酒」 の題で作った 「駅降りてほのかに匂う酒のまち」。 柳号は 「凡志」。 1日、 川柳祭の開催地、 伊丹市で表彰状を受けた。
「阪神淡路大震災があったころ、 民生委員をしていた関係で伊丹市へ炊き出しなどのボランティアに行きました。 伊丹駅を降りたときの実感を思い出し、 伊丹のまちをイメージして作りました。 『酒』 の題には、 酒飲みをよんだ句が多く、 視点が違ったのが良かったのかも」
「表彰式で、 審査員が私の句を 『篠山は丹波杜氏の里で、 伊丹の酒づくりを支えてきた。 そうした風土がこの句に表れている』 と講評され、 『なるほど、 そういう見方もあったか』 と感心しました。 トップの賞をいただくなんて二度とないでしょうけど、 励みになります。 それに、 川柳を作っている丹波の人の励みになればうれしい」
「川柳を始めたのは神戸市の会社に勤めていた21歳のときですが、 国鉄に転職した翌年から篠山市内の会社を3年前に退職するまでの間、 川柳から遠のいていました。 勤めている間は仕事が大事なので。 退職してから 『川柳ささやま社』 に入って、 川柳に没頭しています。 いつ、 ひらめくかわからないから、 ちょっと田んぼに行くときも、 メモ帳と鉛筆を持っています」
「柳号の 『凡志』 は、 川柳を始めたころにつけたもの。 終戦後の暗い時代に明るさを振りまいていたコメディアンの西条凡児さんの 『凡』 をもらって、 世の中、 平凡に暮らしたらいい、 平凡な志で川柳をつくりたいと、 この名前にしました。 これだと、 名前負けしませんし」
もらった表彰状は額がついておらず、 ひと回り大きなサイズだった。 近くの店には適当な額がなく、 特別注文しなければいけないかもと言い、 「賞をもらったばっかりに余分なお金が必要になりました」 とほほえんだ。 川柳を作っている人らしく、 ユーモア精神に富んでいる。 明るく文学的な川柳をめざしているという岡沢さんが、 これからどんな川柳を作るのか楽しみだ。 篠山市打坂。 76歳。 (Y)