自宅近くに篠山市内で初めての弓道場を自費で建設し、 7月末に道場開きを行った。 弓道を始めて9年、 5段の腕前を持つ。 道場をつくる一方で篠山市弓道協会も設立。 市内外の有段者ら6人が参加している。 愛好者のすそ野を広げるため、 9月から初級講座をスタートさせる。
「校長として最後に勤務した川西緑台高校には弓道部があり、 市内に弓道場もありました。 以前から興味のあった弓道をより身近に感じたのがきっかけで、 弓道を始めました。 弓道の作法は非常に静かです。 しかし、 静の中にも動がある。 力を内にためて矢を放つ。 力の充満と矢の鋭さが魅力です」
「シュートが決まって派手に喜ぶサッカーのようなパフォーマンスは、 弓道にはありません。 というのも、 弓道には的を射ることができたのも、 あなたのおかげ、 という考え方があるから。 相手を思いやって喜びを表さない。 その点、非常に謙虚だし、 武道本来の姿があります」
「篠山市弓道協会には有段者が私を含めて4人、 女性が2人おられ、 週に一回集まって練習しています。 今後は月に一回、 月例射会を開いて競射をし、 技術的にも人間的な面でも高めていきたい。 また、 流派の違う人にも会員になってもらって、 互いに磨き合いたいですね。 心にゆがみがあると、 的に当たらないし、 いくら腕が上がってもへりくだった気持ちがないと、 やすきに流れてしまいます」
「建設した弓道場は、 10年で使命を終わらせたいと思っています。 やがて市立の弓道場ができるまでのワンステップです。 そのためにも愛好者を増やさないと。 弓道場をつくるのはしんどく、 これが山場かと思っていましたが、弓道場ができた今、 これからが本当の山場だと考えています」
青野さんが弓道を始めたのは50歳代の半ばを過ぎてから。 80歳を越えても、 かくしゃくと弓をひいている人がいるという。 弓道は生涯スポーツの一つといえる。 城下町篠山は歴史的には武道が盛んだった土地柄であり、 弓道が今に根づいていてもおかしくなかった。 弓道の再興をはかり、 生涯スポーツとして普及できるか、 青野さんの役割は大きい。 篠山市追入。 66歳。 (Y)