原料に兵庫県丹波市産の山椒を使ったチョコレートが、フランス・パリで開かれた世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」で最高評価の金賞を受賞した。
辻口氏「素材のインパクトすばらしい」
世界的パティシエの辻口博啓さんが手掛ける東京・銀座のチョコレート専門店「ル・ショコラ・ドゥ・アッシュ」が出品した。「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」をモチーフにした味わいの異なる4個セットの1つに、同市青垣町の芦田美智則さん(66)が生産した山椒が使われた。山椒のガナッシュで、加賀棒茶のジュレを挟む構造。
芦田さんは希少な国産ごまの一つ「丹波黒ごま」の生産組合長で、地域素材にこだわったスイーツづくりをしている辻口さんと2016年に面会した際、黒ごまと共に売り込んだ丹波市産農産物の一つが山椒だった。受賞を受け、辻口さんは芦田さんに「丹波の山椒はとても香り高く、素材のインパクトもすばらしい。一つひとつ丁寧に摘まれた表情は美しく、素材を使う者を魅了する」とのコメントを寄せた。
芦田さんは丹波農業改良普及センターの指導を受け、無農薬、無化学肥料で山椒を120本栽培している。大型機械が不要で、収穫以外の手間がほとんどない山椒は、「高齢化する丹波市の生産者向き。『丹波山椒』を生産する人がもっと出てくれば」と栽培が広がることに期待。丹精を込めて育てた山椒入りのチョコレートが評価されたことについて、「丹波市産農産物は高品質と発信する材料になれば」と喜んだ。
一昨年、丹波の黒ごまもロンドンで開かれたチョコレートの世界大会「インターナショナルチョコレートアワード2017」で金賞を受賞。芦田さんは、試作用にと、他にも辻口さんに丹波市産農産物を送っている。
4粒入り1901円で、銀座本店、オンラインショップなどで販売中。阪急百貨店うめだ本店で開催中の「チョコレート博覧会2019」ほか、全国の百貨店でも販売されている。