太鼓の音に思い乗せて
時に激しく、時に優しく―。日本人のDNAに刻み込まれた音の塊に、思いを乗せてばちを振るう。
太鼓との出会いは高校1年生の時。音楽が好きで吹奏楽部に入ろうと思っていたが、「女の子が多かったので」と、当時あった樽太鼓部に入った。
17歳で和太鼓集団「丹波篠山太鼓・鼓篠組」のメンバーになった。鼓篠組は、毎年、数万人が訪れる「丹波篠山デカンショ祭」の中でも熱のこもった演奏を披露。先輩奏者たちから刺激を受け、本格的に太鼓にのめり込んでいった。
「メンバーとの一体感があり、高揚感が出てくるのが魅力。打てば響くという意味では簡単だけれど、『表現』もできる楽器。見てくださる人に何かしらエネルギーを受け取ってもらい、元気になったり、自分も何かやってみようと思ってもらえたら最高ですね」
鼓篠組での活動を中心に、オリジナル曲の制作や、シンセサイザー、ピアノ、尺八、三味線、アフリカ太鼓など、さまざまなジャンルとのコラボレーションにも精力的に取り組んできた。
昨年は自主公演や地域の祭りなど約20件に出演。また、小学校などで子どもたちに太鼓の魅力を伝える活動も始めている。新たな郷土芸能として太鼓を広めるために結成された鼓篠組を次世代につなぐ取り組みだ。
「自分自身、太鼓があることで救われたし、なければまったく違う人生になっていた。そして、地域のために自分ができることも太鼓しかない。太鼓を知ってもらい、広めていくことが自分の役割だと感じています」。
今年も他ジャンルとのコラボ公演を計画中。夢はまだまだ広がる。38歳。