予想されていたとは言え、衝撃的な結果になった。安倍首相にしてみれば、「年金も格差も閣僚の問題も、自分がおかした失政ではない」との思いで「続投」を決意し、与党内に火中の栗を拾う者もいないので、黙認された。▼しかし国民は、「やはり安倍さんに責任があるはず」と判断した。とりわけ1人区での惨敗は、地域間の格差が放置されていることを農村部の有権者が痛感していることの現れだろう。そこを、老練な小沢・民主党首につかれた。▼かつてない衆参の勢力のねじれから、国会運営は非常にぎくしゃくし、対決法案はまず通らなくなる。民主党としては、この勢いで1日も早く衆議院を解散に追い込みたいところだが、あまり党利党略に走ると、目論見は果たせないだろう。▼国民は民主党の政策にひかれて投票したわけではない。第1、民主党は何をめざしているのか、ということがいまだにはっきりと見えない。「小さな政府」はもともと民主党が言っていたこと。それを取り入れた小泉さんの政策で格差が生じている。そこをどう是正するのか。▼もはや、公共事業や補助金のばらまきでは解決しない。地域の問題で言えば、やはり産業振興に意欲的に取り組む者を誘導し、後押しする。与野党とも、そういう方法についてきちんと議論してほしい。(E)