高校野球

2007.08.23
丹波春秋

 毎年のことながら、高校野球が終わる頃には暑さも下り坂に。さしも悩まされた今夏でも、秋の気配がしのび寄ると、一抹の寂しさを覚える。▼筆者が高校野球のことを認識したのは小学3年の時、兵庫代表の芦屋高校の優勝から。でも多分、ラジオでは聴いておらず、雑誌「野球少年」に載った同校エースの「植村義信物語」という記事にえらく感動した。決勝までの相手の柳井商工、成田、八尾といった校名まで、鮮明に記憶している。▼やがてテレビ中継が始まり、高校野球の期間中はテレビのある祖父の家に入り浸って一人で観戦していた。ある時、帰宅した祖父に「何だ、子供の野球か」と言われ、尊敬していた祖父だけに、とても傷ついた気がした。小学生の目にはプロも高校野球も同レベル、いや一発勝負の高校球児たちの方がよほど耀いていたのだろう。▼先日の朝日新聞に、「甲子園球場が秋から改築工事に入り、空襲による弾痕のある鉄扉や、戦前に書かれた右から左に読む入場門の文字も消える」という話が紹介され、合わせて「49校の監督のうち戦中生まれは、大垣日大高の阪口氏だけ」と書いてあった。「終戦時1歳」なら筆者と同い年。▼そりゃ、団塊世代が定年を迎えているのだから、当たり前も当たり前の話に違いない。なのに不思議と、この記事が深く脳裏に残った。(E)

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