兵庫県丹波篠山市の向井自治会がこのほど、「亥の子祭り」を行い、同地区の小、中学生8人が全戸を回って、新米のわらで作った「槌」で地面を叩き、祝儀をもらった。
全国神社総代会のホームページによると、亥の子は亥の月(旧暦10月)の亥の日、主に西日本で見られる行事。「亥の子餅」を食べ、無病息災や家内安全、多産の猪にあやかり子孫繁栄を祈る。
農村では刈り入れが終わった時期で、収穫の祝いと感謝の意味もあり、この日に田の神が山に帰るとされている。
持ち手のある棒状の槌は、事前に自治会役員や保護者らが子どもの人数分を作った。
子どもたちは午後6時に向井八幡神社で一斉に「亥の子の餅 祝いましょ かねのわくやのじんごんさん 御神酒も供えて祝いましょ すってんぽん」と歌いながら、槌を振り回して地面を叩いた。
その後、各戸を回り、玄関前でも同様の歌と所作を繰り返すと、住民が子どもたちに「ご苦労様です」などとねぎらいの言葉をかけて1000円の祝儀を渡した。
男の子(12)は「たくさんの家を回ると疲れてくるけれど、ご祝儀をもらえるのでうれしい」と話していた。
同自治会では長く恒例の行事だったが、少子化のため一時行事が途絶えた。移住者が増え、6年ほど前に復活して以来、毎年行っている。同地区では亥の子餅の代わりにぼたもちを作り、無病息災を願っている。