わらで大きな蛇をなって無病息災や家内安全などを祈る伝統行事「蛇ない」がこのほど、兵庫県丹波市山南町応地で行われた。地元の保存会が大歳神社で長さ10メートルほどの大蛇をなった。
同地区には、大雨による増水で川向こうに取り残された子どもたちを、突然現れた大蛇が橋の代わりになって救ったという伝説がある。川の安全や五穀豊穣などを願って江戸時代から「蛇ない」が行われているという。
「てんころ」で稲わらを叩いて柔らかくし、蛇の頭部からない進めた。胴体部分は3人がかりでない、わらの束を継いで長くしていった。きつくなうため、時おり「せーの、よいしょ」の掛け声でなう人が回転しながらわらをねじり、強度を高めた。大蛇が完成すると、「とぐろ」を巻かせて酒を飲ませる儀式を行った。
その後、5人がかりで大蛇を持ち、近くの応地川で水を飲ませる所作を行った。新型コロナウイルス対策として、集落内の1軒ずつを訪問する練り歩きは取りやめた。
応地自治会長で、同保存会長の林敏和さん(68)は、「若い人に積極的に参加してもらい、今年も伝統を継承できた。今年1年、災害などがない年になれば」と話していた。