求む!トラクター購入資金 耕作放棄地解消に 20歳以下人口ゼロの集落がフィールド

2021.04.05
地域

クラウドファンディングへの支援を呼びかける「さともん」代表理事の鈴木さん(左)と、地域再生協働員の岡田さん=2021年3月24日午前9時8分、兵庫県丹波篠山市味間新で

兵庫県丹波篠山市を中心に活動しているNPO法人・里地里山問題研究所(通称・さともん)が、トラクターの購入資金を募っている。賛同者から支援を募るクラウドファンディングを活用。「20歳以下人口ゼロ」の同市川阪集落で、都市住民に農業体験を楽しんでもらいながら耕作放棄地再生を目指す「川阪オープンフィールド(以下、OPF)」(川阪活性化委員会主催)の活動や、地元住民の農作業に利用する。

 

目標金額は50万円。3月29日時点で87%(43万7000円)に達している。同法人代表理事の鈴木克哉さん(45)は「都市住民には、都会ではできないトラクターの操作体験をしてもらうことができ、地域にとっては耕作放棄地の管理につながる。みんなにとっての『夢のトラクター』。集落の未来を変えたい」と話している。25日まで支援を受け付けている。

OPFは、同法人が企画・運営を担い、地域活性化につなげようと2019年度から始めた。参加者が月2回ほどのペースで米や野菜作りなどを楽しんできた。19年度は全21回で204人、昨年度は全25回で359人が参加。家族連れやリピーターも多く、「関係人口」が着実に増えている。

集落の人口は33人で、うち65歳以上は16人。約50アールの農地が耕作放棄地となっている。最も若い農業従事者でも50代で、ますます耕作放棄地が増えることが予想される。

「川阪オープンフィールド」の様子。都市住民が汗を流しながら、農村での作業を楽しんでいる=兵庫県丹波篠山市川阪で(提供)

同法人は現在、集落内で約7アールの耕作放棄地を活用。これまでは手押しの耕運機で作業していたが、より多くの耕作放棄地を管理していくためには、馬力のあるトラクターが必要と考えた。またOPFの中で、都市住民はトラクターの運転という非日常体験ができ、地域にとっては農地を耕す貴重な戦力になる。双方にとって、より良い関係を築くことにつながるという。

昨年12月から月1―2回、OPFの運営者や参加者たちで返礼品の設定などを話し合う会議をオンラインで重ねてきた。返礼品は、川阪で収穫した「白米・玄米セット」(3000円)のほか、「川阪OPFの田、畑、橋の命名権」(1万円)、ホタルの観賞や野菜収穫体験ができる「里山一日満喫コース」(5万円)など、支援金額に合わせ10種類ほどを用意している。

活用しているクラウドファンディングは目標を超えても、集まった支援金を全て受け取れる「オールイン方式」。鈴木さんが昨年11月に受賞した「貝原俊民美しい兵庫づくり賞」の副賞50万円と支援金を合わせ、額に応じたトラクターを購入する予定。

昨年からOPFの運営に携わっている地域再生協働員の岡田理文さん(23)=神戸市=は「耕作放棄地を地元の方も使えるような場所に変えていければ」と話している。

川阪活性化委員会会長の山崎義博さん(70)=川阪=は「たくさんの人に支えられて活動できていることが再確認できた」と支援に感謝。「トラクターが導入されると、地元で貸し合うこともでき、OPFで活動できる範囲も広がる。OPFの活動に参加してくれる地元の人も増えるのでは」と期待している。

「『20歳以下人口ゼロ』の集落をみんなのふるさとに」で検索を。

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