市島町前山地区の一番奥、 徳尾からさらに奥の山中へ専用のゲートを開けて、 車でさらに奥へと登っていく。 まことに奥まった所にある神社で、 山全体が神域である。 風が吹けば、 少し不気味な様相を呈するような厳粛な雰囲気の神社である。 神仏習合の面影が残っている。 秋は、 紅葉が美しいそうだ。
創建は法道仙人。 当地の名刹、 白毫寺と同時期の8世紀の初めと考えられている。 余談だが、 この白毫寺には、 6代目中井権次正貞による欄間の鶴亀の彫り物があり、 また上竹田の賀茂神社にも数は少ないが、 動物の彫り物が見られる。
さて、 福知山市三和町の大原神社と時期的にもよく似たここにも、 立派な彫刻がある。 龍はもとより木鼻の唐獅子、 獏、 他に躍動感あふれる唐獅子も目に入る。 脇障子の珍しい角のある大きな鳥と牡丹の彫刻など、 6代目中井権次正貞の作である。
元高校教諭 岸名経夫