長安寺 (福知山市奥野部)

2014.12.13
中井一統特集

 寺域が大変広く、 紅葉の寺として近隣に知られる。 創建は用明天皇の第3子 (聖徳太子の弟)の麻呂子親王の勅願による古刹である。
 ここの薬師堂にすばらしい彫刻がある。 中に入ってびっくりした。 広い天井一面に巨大な竜が下界をにらんでいる。 天井絵ではない。 中井一統としてもこれしかない。 氷上町の大護神社のものは他の彫り者師のものだ。 内部であるゆえ、 鮮やかな朱色が美しい。 片隅に5代目中井正忠の銘が刻まれている。
 さらに屋内の周りには、 唐獅子の乱舞する彫り物、 頭部だけの力強い竜、 はたまた足は偶蹄 (ぐうてい)、 一本の角のある麒麟、 おまけに猪のユーモアあふれる彫り物がある。 さらに、 一隅には美しく多様な羽を持った鳳凰の飛翔する姿が見て取れる。 外部にもそこここに、 見栄えのする彫刻がしつらえられている。 一見の価値あり。

元高校教諭 岸名経夫

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