175号線を春日町黒井に向けて車を走らせる途中の左脇にこの神社はある。 特に目立たない神社だが、 境内に入ってみると、 昔の面影が彷彿として現れてくるようだ。 入り口右側に鐘楼がある。 その右奥には、 明治時代になるまでには、 お寺の庫裏があったものと思われる。 神仏習合の名残だ。 奥に進む。 向背になかなか立派な竜の彫り物が目に入る。 色彩も鮮やかである。 その竜の裏面には、 当柏原町の彫り物師、 中井権次橘正胤の銘板が張り付けられている。 近くの舟城神社の次に正胤が彫刻を施した最晩年のものらしい。
木鼻の左右には、 定番の唐獅子と獏がしつらえられている。 特に、 別の梁の上には、 飛龍の垢抜けした彫り物も見える。 彼の技量の高さを示すものだ。 脇障子には、 向かって左側には樹下に佇む仙人の姿、 右側の脇障子には、 この地でもよく出没していたであろう猪の親子の様子がユーモラスに描かれている。
元高校教諭 岸名経夫