祭神は天地開闢 (かいびゃく) の神で女神のイザナミノミコト。 創建は鎌倉時代、 亀山天皇 (1260―1274) の時代に、 2ほど奥の井尻谷という所に、 紀州の熊野権現社から分霊を勧請し、 室町時代に現在の地に遷座された。 命の神とも言われ、 近在はもとより遠方からも病気平癒を祈念しての参詣者も多い。 鎌倉時代に始まったと言われる裸祭りが特に有名である。 神域は森、 厳かなる雰囲気が漂っている。
社殿の千木は女神を表す内削になっており、 鰹木もしつらえられている。 ここの社の特徴は、 本殿に彫り物が無いことだ。 拝殿には中井一統の手になる彫り物が目に入る。 ただしその数は少ない。 虹梁の木鼻の左右に外側をぐっと睨む豪勢な阿吽の竜がまず目を引く。 しかし、 風化がかなり進んでいて残念だ。 虹梁のすぐ上には山鳩が3羽遊んでいる。 兎の毛通しには、 躍動的鳳凰、 ほかに雲間を飛ぶ鶴、 また奥の滝を表す水しぶきの彫り物も目に入る。
元高校教諭 岸名経夫