法道仙人により開基、 孝徳天皇の大化年間 (645―650) に創建された古刹。 毎年春 (2月11日) に催される災厄を追い払う追儺式 「鬼こそ」 で広く知られている。 また本尊の千手観音菩薩は秘仏で国の重文である。
山門をくぐってすぐ右側にある宝樹閣という立派な庫裏。 ここに素晴らしい竜の彫刻がある。 複雑、 繊細で立体感あるものだ。 最近、 ここの欄間に彫り物師の銘として 「権次」 とあったそうである。 さらに、 そこから長い石段を上って本殿にたどり着く。 立派な石灯籠が目に入る。 本殿に進む。 向背にも素晴らしいと思える竜の彫り物が見える。 しかしながら、 障害物で見えにくい。 梁の間には、 躍動感あふれる唐獅子が乱舞している。 しかし、 ここで最も注目すべきは、 唐獅子、 獏、 華が繊細だがシンボリックに欅以外の素材で作られているようだ。 8代目中井正胤およびその弟子たちの秀作である。
元高校教諭 岸名経夫