神田神社(篠山市大山上)

2015.08.12
中井一統特集

 創建は古く、 大宝2年 (702)、 祭神は大己貴神で延喜式内社の古社である。 また弘法大師空海が開基した荘園で由緒ある地域でもある。 この神社は皇室はもとより、 公家や武家にも崇敬され、 1680年には、 篠山藩主の祈願所として立派な社殿が建立され、 明和2年 (1765) に改修された。
 石段を上がってすぐの拝殿には、 波の上を奔 (はし) る兎の彫り物がまず目に入る。 謡曲竹生島の 「竹生島文様」 である。 背後の本殿をうかがう。 そこにある彫り物の多さと多彩さには驚きである。 向背の中央には獅子と思しき動物、 その左右には兎がいる。 本殿中央部にも、 兎と鳥、 手挟みには、 垢抜けした籠彫りの華。 木鼻の獏2頭、 上部の複雑な木組みの彫り物の数にも驚く。 社殿周りの肘垂木の竜の彫刻は15頭、 他に象は5頭、 唐獅子は4頭だ。 脇障子は中国の神仙説話の翁が彫られている。 脇障子の裏面に、 栢原住中井言次君音の銘がある。

元高校教諭 岸名経夫

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