創建は寛政11年 (1799) の比較的新しい神社である。 由良川などの氾濫で農作物がままならなかった地域住民が豊作を祈念して建立した村社なのだろう。 由良川沿いの平地に鎮座している。 境内社には、 八幡宮、 八坂神社、 天満宮、 今宮神社、 三柱神社、 金毘羅宮、 水無月神社、 その他3社があり、 信仰心の強い地区なのであろう。 本殿は一間社流れ造で正面に軒唐破風を付けている。 小振りではあるが、 京都府有形文化財である。
正面向背には左下方を見据えた竜の彫り物が見える。 そのすぐ上には、 迫力ある獅子噛が下の梁にかみついている。 懸魚には鳳凰が羽を広げ、 木鼻には、 定番の唐獅子と獏もしつらえられている。 本殿上部の木の枠組みも込み入ったものであり、 随所に竜などの小振りの彫り物が数多く目に入る。 左右の脇障子の仙人と龍と虎の彫り物も趣がある。 5代目中井正忠と相方の久須善兵衛の合作である。
元高校教諭 岸名経夫