大歳神社(大年神社とも書く)は、年神を祀る神社のことで、農業神としても崇められている。旧沼貫地区の白山の麓に鎮座している。創建時不詳。この神社の特徴は特に植生の豊かな地域にあり、神社への石の階段の右手に樹齢4、5百年の大欅、左手には市内でも最も古い二本立ちの加護の木があって、氷上町の指定天然記念物である。神域は年中湿度が高く、建造物も他に比べてやや風化が進んでいる感じだ。
本殿向背に大きく体をよじるようにしている竜の姿が見える。大きな宝珠をしっかり握り、左手下方を睨んでいる。木鼻にも定番の唐獅子と獏が見え、そのすぐ下には牡丹の花もある。社殿の上部にもたくさんの彫り物がある。馬足で角がある麒麟、尾垂木には多彩な植物。脇障子には中国の神仙説話からの翁の姿があるが、残念ながら中央部が抜け落ちてしまっている。5代目中井正忠と6代目中井正貞の合作と思われる。
元高校教諭 岸名経夫