祭神は応神天皇。貞観元年(859年)、宇佐八幡神を京都の石清水八幡宮に遷座した折に、磐座信仰のこの地にも遷座された由緒ある神社である。拝殿、幣殿、本殿からなり、特に本殿は、桧皮葺一間社春日造で、明和4年(1767年)に再建され、市の重要文化財である。
本殿向背の手前の少し狭い部分に、宝珠をしっかり持ち、右方を睨んだ竜の彫り物。本殿上部の肘垂木には、周りを囲むようにして、合計10数体の下方を睨む細長い竜が圧巻だ。また本殿左右にはそれぞれ、聖獣の象の彫り物。肘木鼻にも唐獅子と象の彫り物。蟇股には、長寿を願う鶴と亀の姿があり、多彩なものである。何といっても、脇障子が素晴らしい。右側には中国の神仙説話の鉄拐仙人が煙の上に昇竜を乗せ、左側には行司が虎を引き据えている。4代目、中井言次君音の名作である。また往古の雨乞いの神事を受け継ぐ百石踊りが11月の勤労感謝の日にある。
元高校教諭 岸名経夫