若宮神社(綾部市上野町藤山)

2016.07.14
中井一統特集

 創建は治承年間(1177―1181)、平重盛が石清水八幡宮より仁徳天皇の分霊を勧請した神社。百段ばかりの立派な石段を上り詰めたところの重厚な社殿が佇む。摂社も多くあり、なかでも厄神社は多くの参拝人でたいそうにぎわう。本殿もさることながら、唐破風の拝殿が大きく立派である。
 唐破風の上に巨大な獅子噛みが辺りを睨んでいる。兎の毛通しの大きな羽を広げた鳳凰も秀逸。向拝上段の松と睨み合う鶴も面白い。下段の竜が迫力満点だ。首を左上方に向け何かを威嚇している様相だ。宝珠を中央でしっかりと握り、舌をぐっと持ち上げている。惜しむらくは、舌および本来あるべきガラス玉の目と目じりの部分が白い塗料で後世に塗り込められていることだ。定番の木鼻の阿吽の呼吸の唐獅子と獏も見事である。内部には狛犬が2頭鎮座している。明治24年(1891)再建時の中井権次正胤37歳時の傑作である。
元高校教諭 岸名経夫

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