大山の里を西の方、天内地区の方面に向かう。平地に鎮座する社。創建は暦応2年(1339)足利尊氏の勧請による。現在の社殿は寛政11年(1799)に再建されたものである。祭神は菅原道真、宇迦御魂神(稲荷神)、事代主神(えべっさん)であるが、通称天満宮で通っている。石を敷いた道を社殿に近づく。
まず拝殿の向拝を見上げると、やや骨太だが、重厚に見える竜がいるが空間が狭いゆえ、残念ながら頭部が抜きんでていない。いらかはそれほど目立たなく、宝珠も左わきに甘んじている。しかし、木鼻の唐獅子と獏も、手挟みも菊と鳳凰の垢抜けしたものである。ここの特徴は唐獅子の彫り物の数が多いことだ。社殿の周りにはいろいろと趣の違うそれらが、己の姿を誇示しようとしている。湖上を奔る兎、長寿のシンボル亀も居る。脇障子は中国の神仙説話のもの。5代目中井丈五郎正忠、49歳時の力作である。
中井権次研究家 岸名経夫