国道9号と427号線が交差する山東町大垣近くの寺院である。創建は比較的新しく明暦4年(1658)。2年後大火があったが、現在の仏閣は文政6年(1823)に再建された。鐘楼を潜って拝殿に近づく。やや黒ずんだ竜の彫り物が目に入る。珍しい浪の上に浮かぶ竜だ。大きく白く見える眼で左下方を睨んでいる。髭は木で宝珠は中央に白みを帯びている。木鼻の唐獅子と獏はやけに鑿の切れが鋭い。持ち送りは松に山鳥。手挟みの火炎から飛び出す鳳凰は見事である。
本堂内部を拝見した。正面欄間五面に花鳥風月が岩絵の具を使って多彩な彫り物となって浮かんでいる様だ。その上五面の空間にも山鳥が踊っている。天井は折立格天井で色は薄れているが、たくさんの花が描かれ、やや広くあいたスペースには、大きな竜の色彩図や虎のそれもある。青竜軒の名の下に6代目中井権次橘正貞が一統を率いてしつらえた名作である。