延喜式神名帳にある古社。創建は貞観9年(867)、祭神は速秋津彦命(ハヤアキツヒコノミコト)。本殿は宝永4年(1707)に再建され、火事により焼失後、明治25年に再建。水戸神社、水門神社とも言われた。往時には阿蘇海の水がこの付近までを満たしており、舟を使
っての交易が盛んであったと言われている。社殿には立派な石段を20段上がっていく。
本殿に立派な彫り物がなされている。向拝中央には、梁間からはみ出した迫力満点の竜が見える。細い胴版をくるくる巻いた髭、大きな舌。何といっても骨太の“いらか”が素晴らしい。左上方を睨んでいる。このすぐ上の空間には目を大きく見開いた力士が唐破風の屋根を支えている。木鼻の唐獅子と獏は大きく、鑿(のみ)あじ鋭いものだ。二重の手挟みには、鶴や鷹、びわの実をついばむ猿がいる。本殿四隅には象の聖獣が、脇障子には神仙説話の仙人がいる。柏原の8代目中井権次橘正胤の傑作である。
中井権次研究家 岸名経夫